和食職人たちの包丁技術を垣間見ておりますと、日本人のこころがその道具である和包丁にも、さらには和食の包丁技術にも注がれているように感じるのです。
日本人のこころのよりどころとして日本刀を示す方々もいらっしゃるようですが、実際に本焼き包丁と呼ばれる和包丁には、日本刀を製造する際に用いられていた製法が活かされているようなのです。
日本刀と和包丁の関係性には、共通点がみられるのかもしれません。時として料理人たちは、自分の包丁には魂が込められているなどと言葉にすることもありますが、武士たちが自らの帯刀する刀剣に対する想いにも似たような志しがみられたのかもしれません。
現代と生きる料理人と武士たちの姿がオーバーラップするのは、いったいどのような関係性が秘められているのでしょうか。